ゴンザレス三上
gonzalezmikami
『各曲解説その4曲目』

「green submarine」
ガラスの美しい破片、切れ切れの細かい布等々。微細で美しい断片で形作られた素粒子アレンジはキオト君の秀作。
元々の打ち込みは、僕がして、菅谷スタジオで、またまた一進一退していたのですが、キオト君の音が、一瞬、脳裏をよぎったので、早速電話しました。僕達のアレンジをベースにしながら、全く無視して欲しい、等と訳の分からぬオーダーでしたが、出来上がったアレンジは殆ど手直しなしの、素晴らしく我々のイメージに合うものでした。
とりわけ、ベースになる打ち込みをゴシックのように組み合わせ、その上に自らのアレンジを施して、一艘の潜水艦のように完成したフォルムに仕立て上げたアレンジに大いに感動した我々は、その後、津上さんのソプラノやエレキギター等のアグレッシブな方向性を見いだしていったのです。
なお、この曲では、打ち込みのドラムと楠君の生ドラムが共存しています。規則正しい打ち込みドラムと、感情の波に自在に伸縮する楠君の生ドラマが、モアレのようでモアレでない美しいグルーブを生み出しました。
偶然にも、「くじら」というグループにいた二人。そのキオト君と楠君の二人がいなかったら、この曲はもっと違ったものになっていたかもしれません。

余談ですが、キオト君のデータは全てネットでやり取りしました。何しろ高音質なデータの送受信なので、余分な反復データ等は切り詰めて送らないと大変なデータ量になってしまいます。でも、送られてきたものが、あまりに切り詰められたデータだったので、受信したこちらは、PC上で、キオト君が送ってくれた組み立て図面を見ながら、ジグソーパズルを組み立てるようにパーツ音源を一つ一つ繋ぎ合わせていかなければなりませんでした。実はこれが結構大変なのです。で、それを一人でやったのが、ミキサーのイカちゃん(肩が非常になで肩なのでイカちゃんです)こと松田龍太君です。今や、スキマスイッチ等で超売れっ子のミキサーなので、普段はこういう作業は、アシスタント君がやってくれるので、まぁ楽なのですが、緊縮財政故か、あるいはプライベートスタジオ故か、アシスタント君がいない、ので自分でやるしかなかったのです。かつての優秀なアシスタント時代を思い出しながらかどうか分からないですが、黙々とやってくれました。
それにしても、イカちゃんのキーボード操作は、ショートカットの連続、まさに神業です。なので短時間で作業が終了できました。でも、もう次は勘弁して下さい、とも言っていました。実は次の曲もキオト君のアレンジだったのですが…。

naomi&goroのおふたりより

ゴンザレス三上さんは、いつお会いしてもとても素敵な方です。
繊細さと気品。優しさと知性。
お会いする度に、目が釘付けになってしまいます。
そんな憧れの三上さんの14年ぶりのソロアルバム。
パリのメリーゴランドにのって、くるくる回るような「マルシェの白い
熊」「マルシェの黒い熊」
マントンの海を、滑るように、船で巡るような「de vento em
popa」
素敵なアルバム、ありがとうございます。
布施尚美


はじめて会ったときも
今回レコーディングで会ったときも
話題はギターの話し
僕には数少ないギターの話しが出来る
大切な人です。
伊藤ゴロー

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『各曲解説その3曲目』

「マルシェの白い熊」
朝市に白熊がいたら、実際はパニックでしょうね。白熊は、ああみえて最強の動物の一つですし、非常に獰猛ですから。
でもこれはとても温和な物語の中のシロクマの曲。何しろ、マルシェで売り子をしている熊ですからね。
そしてこの曲は、大阪は北堀江にある雑貨とギャラーの店、オソブランコのために作った曲です。
スペイン語でオソが熊、ブランコが白で、シロクマな訳です。

さて、この曲は、ソロのプロジェクトが立ち上がったと同時に出来上がった曲です。メロはシンプルながら妙なおかしみに満ちた曲です。ですが、コードは目まぐるしく変化し、それにテンションだらけ。なので、フェークやアドリブは、簡単そうにみえて結構難しいです。

アレンジは僕と菅谷さんで、菅谷さんのスタジオに籠って、ああでもない、こうでもないと一進一退しながら進みました。
14年前のソロの時も、レコーデイングが始まる前に、菅谷スタジオに籠って作業していたので、何だか今回はとても懐かしく、本当に14年も経ったのか不思議でした。だって、14年前も、ああでもない、こうでもないと一進一退でしたから。

メロのピアノは、僕の打ち込みの音と、菅谷さんの弾いた生ピアノの音が混在しています。サイドギターは、僕が弾いたフラメンコギター。そういえば、このサイドギターは、記念すべきソロレコーディング開始の一番最初に録音したのでした。

もともと、サビの部分には僕が打ち込んでいたファゴットが入っていましたが、敏腕プロデューサーの佐脇氏が、これは絶対に生で、それも宮本さんのオーボエでしょう!!と言ってきたのです。逼迫財政なのに大丈夫?と心では思っていましたが、プロデューサーが言うのですから大丈夫、早速依頼しました。
で、実際の録音はずっと後、全曲のレコーデイングが終了する間際でしたが、さすが世界の宮本さん。4テイクしか録音しませんでしたが、選ぶのが難しいほど、どれも素晴らしい魅力に溢れておりました。
ちなみに、8曲目の「マルシェの黒い熊」とは異名同曲。こちらはショーロクラブの笹子さん率いるユニット、コーコーヤが奏でる、ブラジルチックワルツになりました。5月からは、関東圏内で京王電鉄のTVCMにも。
蛇足ながら、ライナーノーツの曲名の下にフランス語で記してあるのですが、白熊のほうは雌、黒熊は雄になっています。

『各曲解説その2曲目』

「midnight alert」
羽毛田さんにアレンジを依頼する時は、まず、僕が自宅で大体の大枠の打ち込み(PCで音楽データを作成する)を行って、そのデータとデモをメールで送る、というところから始まります。羽毛田さんは、その職業柄、豊富な音源と知識を持っていますから、僕のデータを基にして、その上に自らのアレンジを施していきます。でも、中には、僕のデータのままの音源やアレンジになる事もあります。では、何故、アレンジャーに託さず自分一人でやってしまわないのか?という疑問もおこります。
で、その理由は、僕達ゴンチチの音楽に対するありようを表してもいるのです。というのも、僕達ゴンチチは、基本的に二人組です。もしかしたら、一人の方が、機動性が良いし、統一感もあるかもしれません。でも、僕達ゴンチチは、多くの人が共に演奏したり関わったりする事で、それが元の曲を大きく膨らませるのが大好きです。二人組というのは、それの最小単位でもあるのです。つまり、自分以外の他者のフィルターを通す事によって、より多くの豊かさが生まれる事が楽しいし、そしてその時の驚きこそが音楽の醍醐味だと思っているのです。加えて、生まれた楽曲の、一人よがりな側面も回避できます。生まれてくる楽曲の全てがそうである必要はないですが、生まれたその曲の望む方向性が何となく見えてきたら、その示す方向に向かってやるのです。曲自体がそう望めば、多くの人がそれに関わる事にもなりますし、あるいは誰も携わらないという風にもなります。
スタジオでも、誰か一人が、これで絶対に良いという感覚がなければ、多くのスタッフの意見が取り入れられます。最終的に決定するのは僕達ですが、しかし、スタッフやその他の人達の意見によって、その楽曲が刀のように研ぎすまされていく事は事実です。
さて、midnight alertですが、これはほぼ僕のデータのままです。音源は一部変わっていますが。そしてリードギターは、何と、自宅で弾いたデモの音源をそのまま採用しています(楽曲が生まれた時の高揚感や臨場感を感じて頂ける事があれば、多分それが理由でしょう)。それでも羽毛田さんのフィルターを通した事で、とても風通しの良い楽曲になりました。
もっとも、基本は楽曲のパワーです。楽曲の持つパワーが強いと、アレンジャーも演奏者もミキサーも、全てを感動させる事ができます。それは決して間違った方向に行きません。どんな曲もそうあって欲しいと望むのですが。

エゴ・ラッピン 森 雅樹 さんより

思へば1993年、当時18歳だった頃、今と変わらず斬新で 新鮮な音楽を求める中、馴染
みのCDショップでゴンザレス三上1stソロアルバム 「GATE OF NOTION」を購入。当時の
彼女に教わり、よく聴いていたゴンチチからは想像のつかない音、
か の香織や屋敷豪太といった個性的なアプローチを持つ参加人、
これがギター弾きのソ ロ作品だと深く感じた。
今聴いても新鮮なのだ。
それから14年、僕の手元にそ んな三上さんの2ndソロアルバム「green shadow,white door」が届けられたのだ!
仕事柄、沢山のCDを頂く事が多いのだが、こんな嬉しい事は久々だった。
そして、こうして三上 さんの2ndアルバムのコメントを書いている。
なんとも不思議で、又、恐縮だと…。
今作も更に斬新で都会的、お洒落とさえ感じる楽曲群、間違いなく先輩ミュージシャンの作品だ!
現在進行形のゴンザレス三上の世界、今宵、アナタと一緒に聴きたいよー。
無論、アナタと言ふのは妄想である…。

エゴ・ラッピン 森 雅樹 拝

『各曲解説その1曲目』

「課外授業」
この曲は、全曲中一番最後に出来上がった曲です。
夜中に別の曲の作業をしていて、急に頭の中一杯にこのメロが鳴り響きました。で、すぐに録音して、翌日東京のスタジオで皆に聴いてもらいました。サビがまだ無かったので、このままでは惜しいという事になり、それから数日をかけて、サビを作り、録音したものです。
この曲を曲順の一番最初にもってきたのは、なんだゴンチチそのものじゃん、と一瞬思って頂きたかったからです。二曲目のmidnight alertとの落差、質感の違いを楽しんで貰いたかったのです。でも、この曲は、本当はゴンチチとはかなり違うのです。作曲も録音も演奏も、全て違います。多分時間が経つとその違いが明確になってくると思うのですが。
納得のいくテイクがなかなか録音できず、苦労した曲ですが、幸いにも、大日本住友製薬のCMに起用される事になりました。誰か一人でも気に入ってくれる人がいてCMというのは動き出す訳です。そう考えると、一音楽家としてとても光栄な事だと思いますし、苦労も報われる気がするのです。
で、もう一つ秘密を言うと、僕のこのアルバムを全曲リピートで聴いて頂くと分かるのですが、最後の曲「夏の終わりの庭」の後に、「課外授業」が来ると中々良いのです。つまり本当は「課外授業」がラストだった、という可能性もあるかもしれません。それは、聴く人それぞれでしょうね。

遊佐未森さんから

三上さんのピアノに導かれるように
「夏の終わりの庭」を朗読しました。
カンさんの韓国語のトーンは、風の止まった庭に
くっきりと浮かぶ木陰の涼やかさ。
静かに呼吸をしながら、わたしも同じ場所を
見ていたような気がします。

大好きな曲がたくさんの、三上さんのすてきな
アルバムに参加できたことがとてもうれしいです。

遊佐未森

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『録音綺談01』

 曲作りは、何となく昨年の7月頃から始めましたが、今回のアルバムのゲストミュージシャンとの交流は、それより遡ること5ヶ月前の2月、新しいiMacを買って、ネット生活を送るようになってから始まったものが多いのです。
 例えば、元クジラのキオト君は東京を引き払って名古屋に戻っていましたが、自分のHPで音楽を続けていて、偶然ネットで遭遇して、大いに気に入りました。遊佐さんのHPも、同じ頃、偶然見たのですが、これもとても涼しげで、無駄な感じが無く、大変気に入りました。勿論、ご両人の事は、前から知っていたし、14年前のソロの時にもゲストアーティストだったのですが、長い間、交流が無かったのです。
 既知の人と、ネットで再会するのは、不思議に新鮮な気分でした。その頃はまだソロの計画は無かったのですが、何とか、僕とキオト君と遊佐さんで作品を作りたくなって、NHKFMの喫茶「謎」という僕のコーナーのジングル制作を依頼したのでした。
 キオトの音に遊佐さんの声、これがなかなか面白かったのです。今回のアルバムのムードは、実はすでに、そこから始まっていたのかもしれません。