| 阿吽のゴン・チチ14年振りのソロ ミック板谷 |
| 三上さんと松村さんのぞれぞれのソロアルバムが14年振りと聞いて、彗星のようだな と思った。14年振りに出現したかと。今回のお二人のソロアルバムを聴いて、改め てゴンチチの音楽の面白さ、普遍性や、独自性について思い知らされる事になった。 特に、光栄な事に、チチ松村氏のソロアルバムをデザインさせていただける事にな り、その音楽性の成立の秘密といった部分に、今さらながらに触れる機会を得たのは 大きな喜びだ。ゴンチチとの関わりは、僕が80年代の始めにTRA/トラと言うカセッ ト付マガジンの出版に熱中していた頃からなので、今年で25年位にはなるだろう。そ れ以来、ゴンチチの革新的でありながら、ポエジー溢れるメロディアスなアプローチ にやられっぱなしで、ある意味では、真にアバンギャルドな音楽であり、類い稀なギ ターデュオであると敬愛してきた。ゴンチチの数々のアルバムには、その趣味的な人 生と生活感そのものが、慎重に、包み隠さず、朝食、昼食、そしてディナーテーブル の上に乗って香る。消化不良などあり得ないメニューに、この場を借りてお礼を言い たい。「ごちそう様、ありがとう」。と。三上さんのシャープで切れのある、アーテ ィスティックであり、インテリジェンスに溢れた音の創り。松村さんの計算の無い、 子供の遊ぶ砂場のような自由な音楽。子供の頃の思い出の地、生まれ育ってよく遊ん だと言う淀川の堤防の上で、御祖父様が作った椅子にもたれてギターを鳴らし、歌う 姿をプロデューサーの佐脇氏が写真に収め、それをCDジャケットに使用する事はデザ インの依頼をする前に何となく決まっていたようだ。しかし、プロデューサーの佐脇 氏の考えが決定では無く、写真のスタジオに入り新たな写真を撮ると言うプランも有 り、僕もアートディレクションをする立場から考えてみて、より効果的なデザインの CDパッケージを制作するためにはぜひ撮影をと思ったが、その淀川堤防上の写真を見 るにつけ、この味はスタジオでは絶対に出ないし、美しく相応しいと思えるものは撮 れるにしても、この空気を醸し出すのはやはり無理と判断し再撮影は無しとした。そ の代わり、松村さんの歌の世界の不思議感、隔世感をより強調するデザインを発見す るのに時間を費やす事となった。インナーのブックレットにある眉毛をかかれた犬 は、佐脇氏が偶然大阪の街で見かけて撮った昔の物であったり、ピントも無く、ぶれ たりしているのが臨場感があって面白く、偶然を必然にする力も松村さんならでわの もので、小川氏の駆逐艦の上の象の絵も含めて、松村さんの周辺には尋常ならざるも のが集まるように出来ている。それに三上さんと、名マネージャーで今はプロデュー サーである佐脇氏の三つ巴になると、僕はもう眠ったふりをするしか無い。いや、眠 ったふり所か本当に眠ってしまうのがゴンチチの音楽の心髄だ。松村さん、立ち上が って拳を振り上げ、踊りましょう。半音でね。 ミック板谷 |
