GT_LOVERS
鈴木大介×鬼頭黎樹
GONTITI結成40周年&デビュー35周年を記念し、GONTITIをこよなく愛する、
ギタリストの鈴木大介氏とCDショップ「songs」店主の鬼頭黎樹氏がクロストーク。
GONTITIの魅力やその音楽にまつわる思い出、
さらには二人に聞いてみたいことなどを、思う存分に語っていただきました。
また、「GONTITIへのクエスチョン」(4ページ目)本文中の
GONTITI
をクリックすると
GONTITI本人のコメントを読むことができるので、
そちらもあわせてお楽しみください。

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第4回
GONTITIへのクエスチョン

鬼頭 僕はとにかくアレンジが気になる。どんな風にアレンジを進めているのか? 完全にお任せするのか、それとも言葉を交わしながらやるのか?? 「we are here」は特に……。さっき大介さんが選んだ「Strings with Gontiti」の響きも美しくて好きだから、当時のことも知りたいですね。

GONTITI
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ゴンザレス三上

初期のアルバムでは、二人でデモ音源を録音したりして、それをアレンジャーに聞いてもらって形にする感じでした。
ちなみに、僕の方はタブラ奏者でありシーケンサー打ち込みの達人でもあったMa*Toさんと共同作業する頃から自分でも打ち込みを始めたので、次第にPCでデモ音源を作るようになり、中盤以降のアルバムでは自作曲はほぼ細部までアレンジしたものをアレンジャーと共有してレコーディングするようになります。

チチ松村

アレンジはこの曲ならこの人でと、信頼するアレンジャーにほぼお任せしています。デモを作っていただき一聴すれば納得するという感じです。
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鈴木 泣かせる曲、好きですよね?

鬼頭 泣きたいの(笑)。

鈴木 泣けますよね(笑)。

鬼頭 「we are here」も丁寧に作ってあって、特に羽毛田丈史さんのアレンジがきれいだなって……泣ける。あと菅谷昌弘さんが参加した「Old Movie Theater」や「Hustle and Bustle」の管楽器を使った曲もいいですよね。

GT_LOVERS

鈴木 ちょっと昔のGONTITIさんっぽい感じもありますね。

鬼頭 そこを意識されたのかも聞いてみたい。

GONTITI
GT_LOVERS

ゴンザレス三上

今回のアルバムでは、所謂ゴンチチな部分と未知の音楽とのブレンド具合が重要でした。マスターリングの当日の朝までミキサーと音源の修正のやり取りをしていたのはそういった音のブレンドに拘ったからかもしれません。菅谷さんと作った「Hustle and Bustle」は、自分なりのムード音楽へのアンサーチューンですが、打ち込んだ時の興奮が生ストリングスにした時になかなか再現できずに苦労しました。音楽は奥が深いです。というか自分の業が深いのでしょう。
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SUNDAY MARKET

ESCB1060
Release: 1986.4.21


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DUO

ESCB1829
Release: 1997.7.21

鈴木 あと最初の曲「peperoncino」も昔の感じ。サビがはっきりしているんですよね。過去にもそういう曲があって、さっき話した「君の自転車」もそうだし、それから「SUNDAY MARKET」に入っている「モナパーク」もそう。だから、そういう点に戻ってきたのかな?って……。サビって決めゼリフじゃないですか? だから時とともに洗練されて、決めゼリフはもうはっきりさせなくしているのかなって思っていたんです。でも「we are here」を聴いたら、はっきりと出してきてくれたから……ありがとう!みたいな(笑)。

鬼頭 (同じくサビのはっきりした)「pine-bamboo-plum」(「DUO」収録)が流れてたCMが目に浮かんでくるもん(笑)。

鈴木 大阪(出身)だからかも(笑)? ちゃんとオチがあるっていう……。

鬼頭 そこはインストゥルメンタルだけど、チャートに入ってもおかしくない言葉のないポップミュージックだよね。

GONTITI

チチ松村

昔の曲を意識したという感じも、サビをはっきりさせようと思ったことも全然なくて、自然に出来たという感じです。
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Gontiti recommends
Gontiti


ESCL2430〜2431
Release: 2003.7.30

鈴木 あと不思議なのが、GONTITIの表記が小文字の時と大文字の時があること。ご本人は気にされていないのかもしれないけど……。

鬼頭 僕も気になった。こうやってCDを並べると特に……。

鈴木 どう使い分けているんですかね? それから、お二人が好きな絵画史……好きなアートのエポックが聞いてみたい。GONTITIさんだったら、“エジプトの彫刻がいいんだよ”とか(笑)!? 

GONTITI
GT_LOVERS

ゴンザレス三上

僕はデザインが好きですので、ゴンチチの英文字表記がGONTITIかgontitiかについては、トータルなアルバムデザインの観点から決定します。デザインに対する文字映えも重要ですね。
ともあれ、アルバムのトータルイメージ、トータルデザインありきですね。

チチ松村

GONTITIの大文字小文字表記は、全体のデザインでその都度変わっているので、別に深い意味はないと思います。
絵画はそんなに詳しくないですが、日本の熊谷守一さんや畦地梅太郎さんの絵は好きですね。
GT_LOVERS

鬼頭 芸術の影響ってありますもんね。でもお二人はとても詳しそう。三上さんは以前、何かの番組でアントナン・アルトー(フランスの俳優・詩人・小説家・演劇家 )の話をしていらっしゃって、僕、その時にアントナン・アルトーを初めて知りましたもん。

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Anothermood +
脇役であるとも知らずに


ESCB1058
Release: 1990.6.21

GONTITI
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ゴンザレス三上

幼稚園児の時に、閉館されていた図書館の蔵書蔵に忍び込んで初めて見たダリの画集以降、絵画に目覚めました。それ以降、絵画や芸術作品が好きです。マルセル・デュシャンも好きで一番最初にレコーディングした曲のタイトルは『マルセルでさえも』。現代美術も好きです。ニューヨークで見たポロックには衝撃を受けました。今気に入っているのは、先日映画で観たラリー・プーンズの最新作。

鈴木 そう言えば「KIT」の1曲目の「QED」ですけど、Q.E.D.って数学や哲学とかの証明完了の意味で、量子電気力学のこともそう言うんですよね。確かこの曲の時期にそういう学問に凝っていたんじゃなかったのかな?

鬼頭 ご本人によるアルバムの全解説をやってほしいなあ。

鈴木 あ。あと好きなクラシックの作曲家を知りたいです。いつも三上さんが「宵張ゴン氏就寝前音楽」で紹介される音楽を聴くんですけど、割りとムードミュージックを聴いていらっしゃるのはわかるんです。でもそこではなく、クラシックの好みに興味がありますね。

GONTITI
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ゴンザレス三上

幼稚園の時にアメリカ軽音楽の父、ルロイ・アンダーソンのシンコペーテッドクロックを聴いて大感動した経験上、当初クラシックとは縁遠かったのですが、某ジャズピアニストが演奏したスクリャービンの前奏曲集を聴いてクラシックも良く聴くようになりました。現代音楽も聴きます。取り分けピアノが何よりも好きなのでピアノ曲は作曲者の有名無名に関わらず聴きます。スクリャービンの前奏曲集をはじめ、ジャブリエの絵画風の小曲集、レオ・ドリーブのシルヴィア・ピッチカート、ピエトロ・マスカーニのトミーナ、プーランクのノクターンやメランコリーを良く聴きます。ブラームスだけが有名なのに苦手だったのですが、65歳になってその良き味に目覚めました。

チチ松村

クラシックの作曲家もそんなに詳しくないですが、ブラジルのヴィラ・ロボス、イギリスのディーリアスの作る曲は好きですね。
GT_LOVERS
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鈴木 それと初の海外旅行はいつどこだったかも気になります。 やっぱり影響を受けると思うので……。

GONTITI

チチ松村

初の海外旅行は1987年のニューヨークです。
カルチャーショックを期待していましたが、意外と大阪っぽくて馴染みました。
GT_LOVERS

鬼頭 あと、トークと音楽が交互のCDを作ってほしい。

鈴木 もう質問じゃなくてお願いになってる(笑)。

鬼頭 僕はお二人のトークにも影響を受けてますからね。でもそういう人はいっぱいいると思う。トークも絶品。

鈴木 お二人は、収録やコンサートとかじゃない普通の時でも、ああやってお話しされているのかな?

鬼頭 (ラジオ番組の)「世界の快適音楽セレクション」の時は、テーマだけ決めてあって自由に話をしているのかな? だとしたらすごい。

鈴木 トークではないけど、三上さんはよくTwitterでスイーツを投稿されてますよね。日常を支えるものだと思うんですけど、松村さんの日常を支えるものは何なんですかね? 聞いてみたい。

GONTITI

チチ松村

トークは全て台本なしのその場その場のアドリブです。普段もそんなに変わらないと思います。
日常を支えているものは、三上さんのスイーツに対するものだとすれば、醤油味のおかきですね。
GT_LOVERS

鬼頭 やっぱりGONTITIさんは謎が多いですね(笑)。

GT_LOVERS

最後まで読んでいただき、ありがとうございました